運動をすると頭が良くなるという話は聞いたことがあると思います.
確かに運動をすると間違いなく頭が良くなります.
しかし,運動が脳に良いという科学的根拠や,頭を良くするのに効果的な運動についてはよく知らないのではないでしょうか.
これらについて説明していきます.
学校の成績と身体能力の高さには強い関係がある
まず,運動ができると学校の成績が良いということを明らかにした研究から紹介します.
カリフォルニア州教育局の研究では,学力検査の点数とフィットネスグラムに相関があるということが明らかになりました.
フィットネスグラムというのは身体能力の評価法で
・有酸素運動能力
・体脂肪率
・腹筋の強さと持久力
・体幹の筋力と柔軟度
・上半身の強さ
・全身の柔軟性
これらを総合的に評価したものです.
このフィットネスグラムの点数と学力検査の点数に相関が見られたことから
学校の成績が良い子は健康で運動ができる子が多い
ということが明らかになりました.
学校の教師や子どもの親は,無理やり勉強させるよりも子どもの健康や,運動をさせることに気を配った方が学校の成績が良くなると考えられます.
ただ,無理やり運動をさせることはやめましょう.
無理に運動させると運動嫌いになってしまって自主的に運動しなくなる可能性もあります.
こんな運動があるよってことを提案したり,親御さんなら一緒に運動に誘うのも良いのではないでしょうか.
運動をしたら頭が良くなる科学的根拠
では,なぜ運動をしたら頭が良くなるのか説明しようと思います.
まず学習するときの脳のプロセスについて,英単語を覚える時を例に説明します.
ある英単語を覚えるとき,
その英単語を初めて聞いたときは新たな回路を作るために動員されたニューロンがシナプスに信号をを送ります.
そしてその英単語を記憶します.
その英単語を復習しなければその単語の記憶をつなぐシナプスは自然に小さくなり忘れてしまいます.
しかし,その英単語を繰り返し学習することによってシナプスが徐々に大きくなり結合が強くなります.
そしてその英単語を記憶できるのです.
これが脳の学習のメカニズムです.
脳の記憶というのは木のようなものだと考えてもらうとわかりやすいかもしれません.
この木の中で,木の幹にあたるのがニューロン,枝や葉にあたるのがシナプスです.
木を成長させるのには何が必要でしょうか?
水や肥料です.
脳の中で水や肥料にあたるのがBDNFというものです.
BDNFというのは脳由来神経栄養因子の英略で,ニューロンやシナプスの成長に非常に重要なもので,これが多いと記憶力が良くなるということが明らかになっています.
また,このBDNFは運動で増えることが明らかになっています.
カリフォルニア大学のカール・コットマン教授の実験では
マウスを回し車で運動させたところ,BDNFの量が増加したと報告しています.
特に海馬でBDNFの量が増加しており,運動すると記憶力が良くなるということが示唆されました.
2007年のドイツの研究では,単語の記憶力を運動前と運動後で比較したところ
運動後の方が20%早く単語を覚えられたと報告しています.
また,学習効率とBDNF値には相関があるということも明らかになっています.
研究者曰く
元来人間は体を動かすようにできていて,そうすることで脳も動かしている
我々の祖先は食料を探すために動きながら生きる方法を学習してきました.
動かないのであれば学習する必要はないと遺伝子に刻まれているのです.
つまり運動しなければ脳が働かないということです.
脳を育てるのに最適な運動
ここまでで,なぜ運動が脳に良いのについて説明してきました.
では,どのような運動が効率的に脳を良くしてくれるのか様々な研究を元に紹介していこうと思います.
ある実験では
被験者に激しい運動をしてもらいながら学力試験を受けさせました.
このときの強度は最大心拍数の70%から80%程度でかなりきつい強度で自転車を漕ぎながら試験を受けてもらいました.
想像できると思いますが,その結果は悲惨なものでした.
あまりにきつすぎる強度で運動すると,血流が脳に回らなくなるためこのような結果になったと言われています.
2007年の実験では,50歳から64歳までの成人40人に最大心拍数の60%から70%でのランニングを35分行なってもらい,その20分後に認識の柔軟性を測るテストを行ってもらいました.
認識の柔軟性のテストは,新聞紙のようなありふれたものの使い方を思いつく限りあげてもらうという内容で,新聞紙を読む以外に魚を包む,ハエを叩くなどがいくつ思いつくか測るテストです.
この認識の柔軟性は遂行機能の重要な要素と言われており,頭を使う仕事に欠かせないもので,考えを臨機応変に変えたり,型にはまらない独創的な思考や解決策を生み出すのに必要なものです.
そして,運動を行ってもらったグループと,同じ時間映画を見てもらったグループで比較したところ,運動したグループは認識の柔軟性が向上しており,答える速度も速かったと報告されています.
このことから,何かアイデアを思いつきたいような時はランニングをするのが賢い選択肢になるのではないかと考えられます.
また,日本で行われた実験でも,30分のジョギングを週に2,3回を12週間行ってもらったところ,脳の遂行機能がかなり向上したということが報告されています.
クリエイティブな人になるのにはランニングがベストな選択肢かもしれません.
また,グリーノー教授の研究では,
ただ走らせただけのラット,より平均台不安定な障害物,ゴム製のはしごを歩くといった複雑な運動をさせたラットの方が小脳のBDNFが35%も増加したと報告しています.
このことから,ただ走るだけよりも複雑な動きのある運動がより脳の発達を促すと考えられます.
効率的に脳を育てる運動
以上のことから,脳を育てるのに効率的な運動は
有酸素運動+複雑な運動
これらを組み合わせた運動が脳に良いと考えられます.
具体的には
テニスやバドミントン,バスケなどの球技が良いと言われています.
これらは,有酸素運動になるのに加えてボールやラケットを操る複雑な動きも含まれています.
そして,楽しく行うことができるので人によっては続けやすいと思われます.
ただ,何か一つを極めるより,様々なスポーツを行うことが脳には良いのではないかと言われていますので,ぜひ色々なスポーツを行ってみてください.
また,これ以外に
10分間のランニングなどの有酸素運動でウォーミングアップをしてから,ロッククライミングやバランスの訓練をするなども良いと言われています.
バランスの訓練は,ヨガなどを取り入れてみるのも良いかもしれません.
運動することでBDNFの量が増加する,つまり水や肥料を与えます.
有酸素運動が神経伝達物質を増やす,つまり木の幹を太くします.
複雑な動きはシナプスのネットワークのつながりを強く広くする,つまり,枝を増やしたり太くしたりします.
このように木の幹が太くなって枝が増えることで,学習効率が向上するのです.
つまり,運動をすることで頭が良くなる.
頭が良くなりたいなら運動をしましょう.
まとめ
身体能力と学力に相関があるということが明らかになっています.
運動したら頭が良くなるのは,我々の祖先がそのように育ってきたからだと言われています.
また,脳を育てるのに最適な運動は
有酸素運動+複雑な動きのある運動
このような運動を日頃から行うことで脳が鍛えられるということが明らかになっています.
みなさんもぜひ日常生活に運動を取り入れてみてはいかがでしょうか.
ここまで読んで頂きありがとうございました.
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