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妊娠中の運動って大丈夫?妊娠中に運動するべきか動かざるべきかの科学

妊娠中の運動

妊娠中の運動って大丈夫だと思いますか?

結論から言いますと妊娠中でも運動するべきと現在の科学では言われています.

一般的には,出産は命がけであるため家にいて,活動を減らして,ベッドで横になっているのがいいのではないのか?

と考えられているのではないでしょうか.

ある調査では,妊婦の60%は何も運動をしていないということが報告されています.

しかし,この妊娠中は運動を控えるべきというのは間違いで,積極的に運動するべきなのです.

 

妊娠中はどのような運動をするべきなのか

妊娠中に適した運動

米国産婦人科科学会(ACOG)は,妊娠中の女性に中程度の有酸素運動を毎日30分行うことを推奨しています.

特にデスクワークの多い女性はこれを行うことで糖尿病や高血圧のリスクを軽減することができるため積極的に運動するように言っています.

しかし,状況によっては安静にするべき時もあるので,担当医に相談することも必要です.

また,妊娠中の運動で避けるべき運動もあります.

バスケットボールやアイスホッケーなどの接触のある競技などはお腹をぶつける危険性があるので避けましょう.

乗馬やマウンテンバイクなども落下の危険があるので避けるべきです.

また,スキューバダイビングなどの水圧が強くなる深いところに潜るようなスポーツも避けましょう.

 

妊娠中の女性に推奨されている運動としては,ランニング,水泳,エアロバイクなどです.

 

2007年のイギリスの研究では,66人の健康な妊婦にランニングマシンでのランニングまたは水泳を行なってもらったところ,気分が良くなったり,心の状態が改善したとの報告がされています.

他にも運動することで疲労感,関節痛,筋肉痛を改善したり,脂肪の蓄積を防ぐことができると言われています.

また,妊娠性糖尿病になるリスクを減らすこともできるということが明らかになっています.

研究で,週に5時間早歩きのウォーキングを行うことで妊娠性糖尿病のリスクを75%下げることができると言われています.

 

運動の陣痛への影響

ドイツの研究では,運動で陣痛を和らげることができるということが明らかになっています.

50人女性を対象に,分娩室にエアロバイクを持ち込み,休憩を入れながら20分漕ぐというのを何度か行なってもらいました.

すると,被験者の女性は休憩中よりバイクを漕いでいる時の方が陣痛が和らいだと報告が多くありました.

 

研究者は,分娩の最中に自転車で運動することは胎児にとって安全で,子宮収縮への刺激となり,鎮痛効果もあるとのこと.

ただ,無理のないように行いましょう.

 

妊娠中の母親の心の状態

妊娠中の母親の心の状態が胎児の成長に大きく影響するということが研究で明らかになっています.

 

妊娠中の母親がストレスや不安,憂鬱を抱えていると

・流産

・低出生体重

・出生異常

・死産

これらのリスクが増加すると言われています.

 

また,幸せでない母親から生まれた赤ちゃんは

・神経質

・反応が鈍い

・ぐずりやすい

・睡眠のパターンが安定しない

・認知機能障害

上記のような状態になりやすくなってしまうとも言われています.

 

マウスを用いた実験においても

妊娠中にストレスにさらされた母親から生まれた子どもは

・臆病

・不器用

・冒険心に欠けた

・将来問題が起きた時にストレスを抱えやすい

というような子どもに育ってしまうとのこと

 

妊娠中の母親の心の状態は胎児に大きく影響するので,運動を行い気分を改善することが非常に重要だと考えられます.

 

妊娠中の運動が将来子どもの頭を良くする

ケース・ウェスタン・リザーブ大学のクラップ教授は運動が胎児にどのような影響を及ぼすのか20年以上の研究を行いました.

 

まず,妊娠中に運度をしていた母親から生まれた子どもは,体重も頭囲も正常で,妊娠中の運動は危険だという誤解を払拭しました.

 

また,妊娠中に運動をすることで母親と胎児をつなぐ燃料供給ラインが強化され,胎児が必要とする永長と酸素が確実に届くようになるということを明らかにしました.

 

実験では,運動をした母親から生まれた新生児34人と,運動をしなかった母親から生まれた新生児31人を生後5日目に6つのテストを行い比較したところ

運動をした母親から生まれた新生児は6項目中2項目において運動をしなかった母親から生まれた新生児より優れていました.

運動をした母親から生まれた新生児は,刺激に対する反応がよく,光や音の刺激を受けたのちよりはやく落ち着いたとのこと.

このことから,運動をした母親から生まれた新生児の方が神経学的に発達しているということが明らかになりました.

これに対してクラップ教授は,運動をすることで子宮内の胎児を揺さぶり,赤ん坊が撫でられたりするのと同様の刺激を胎児に与えることができる.これが脳の発達を促したのだろうと述べています.

 

また,運動をした母親から生まれた新生児と運動をしなかった母親から生まれた新生児を5歳児になった段階でも比較しました.

その結果,行動や認知機能には差がなかったものの,IQと言語能力において運動をした母親から生まれた子どもが著しく高かったと報告されています.

そしてその数年後も運動しなかった母親から生まれた子どもに比べて学習能力が高かったということが明らかになっています.

 

これらのことから妊娠中の母親の運動は胎児の将来に大きな影響を及ぼす可能性が示唆されました.

子どものためにも妊娠中に運動するのが大切です.

 

妊娠中の運動が子どもの脳に及ぼす影響

妊娠中の子どもの頭が良くなるのは何故なのか.

ラットを用いてこれを明らかにした実験を紹介します.

 

2003年に行われた研究で,妊娠中に運動した母親から生まれたラットの脳を調べたところ

BDNFのレベルが高かったことが明らかになりました.

BDNFについてはこちらの動画で詳しく解説しています.

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また,海馬と関連のある学習課題において優れた成績を上げており,学習能力も高かったことが明らかになっています.

 

2006年に行われた研究では,毎日10分泳がされたラットから生まれた子どもは

同様にBDNFの値が高く,ニューロン新生が活発で,短期記憶が優れていたということが報告されています.

このことから,母親が運動することで,BDNFが増え,ニューロンのつながりが良くなることで記憶力が向上するということが考えられます.

 

これらの実験はラットを対象にしたものであるためそのまま人間に当てはめることはできないですが

運動と脳の関係について過去10年間に解明された内容と一致するため,人間においても近いことが言えるのではないかとのこと.

 

以上のことから,妊婦が運動すると胎児の脳細胞への栄養供給が向上し,BDNFの値が増え学習能力および記憶力が向上しするとともに心の状態全般も良くなるということが明らかになりました.

妊娠中の運動が赤ん坊の未来を左右するかもしれないということが示されたのです.

 

妊娠中のアルコール

最後に妊娠中のアルコールについても言及させて頂こうと思います.

 

ある調査では,妊娠中の母親の度を越さない飲酒でも将来子どもに学習や行動の障害,対社会的問題が起きる可能性があるということが報告されています.

 

また,別の実験で

妊娠中にアルコールを与えられた母親から生まれた子どもは,

・BDNFの値が低い

・ニューロン新生のレベルが低い

・海馬が萎縮しており学習や記憶がうまくできない

・シナプスに損傷が見られた

ということが報告されており,妊娠中のアルコールは胎児にとって大きな悪影響を及ぼすことが明らかになっています.

 

ブリティッシュ・コロンビア大学の研究では

同様にアルコールを摂取した母親ラットから生まれた子どもはニューロン新生が低いことを明らかにしたのですが

その母親から生まれた子ラットが運動をすると

脳のダメージが回復したと報告しています.

このことから,運動が脳の修復させる可能性が示されたのです.

 

これは人間においても同様で,体を動かすことで脳を修復できる可能性があるということです.

 

まとめ

以上のことからまとめとしまして

妊娠中の運動は母親の健康と心の状態を良くします.

軽ー中程度のランニングやエアロバイク,水泳などがおすすめです.

また,中程度の運動を行なっても胎児に悪影響を及ぼさないということが明らかになっています.

ただ,担当医にはしっかり相談しましょう.

妊娠中に運動することで子どもの脳が発達しやすくなることが明らかになっています.

特にIQや記憶力が高くなると言われているので,将来の子どものためにも運動することが大切です.

最後に妊娠中のアルコールは絶対にやめましょう.

 

ここまで読んで頂きありがとうございました.

 

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